我慢我慢
ブガッティ、ロールスロイス、パガーニ、ケーニグセグ、Wモーターズ、フェラーリ、ランボルギーニ、アストンマーチン、マクラーレンなど外車には、非常に魅力的なブランドが存在する。
日本でこれらの車を購入する主な層は、中小企業経営者や美容系開業医、個人事業主が大半を占めるようである。上記の車の中には数億から10数億程度の車種も存在するため、さすがにこのレベルになると購入者も極一部の人に限定されてしまう。一般にフェラーリやランボルギーニの新車や中古車レベルでは、2,500万円から7,000万円程度のレンジで取引されている(限定車は除く)ことから以下ではこのレベルを前提として記載する。
投資で数千万円の儲けが確定できた場合、フェラーリやランボルギーニの一般市販車や中古車レベルの車の購入に踏み切る人が多い。この傾向は年収が2、3,000万円~5、6,000万円の層にも多く見られる。このレベルの場合、多くはフェラーリ残価ローンやランボルギーニ残価ローンを使用する。当該ローンの内容は、統計的に過去の車種ごとの売買価格分布からおおよそ一定年数経過後の時価を見積り、当該時価を支払総額から差っ引いた残価を取り決めた年数に応じて支払うというものである。フェラーリの場合は、取決め年数を3年とした場合、時価は75%と設定されることが多い。このため支払総額の25%を3年間で支払っていくことになる。
こうしてフェラーリ等を購入しても、このスキームの実態は、単なるリース契約と全く変わらないといえる。3年後に時価で売却することが前提になっており、実質的に所有権はなく自分の資産になっていない。(もちろん、残価の75%を3年経過後に全て支払えば、完全に自分のものなる)。しかも時価75%というのは、保証ではないため60%になっている場合もある。(もちろん、車種や市況等によっては80%と想定外の時価になっている場合もある。)しかも分割払いのため金利も発生し、当該金利は2.9%と高い。単純に3年間、フェラーリに乗れたという思い出しか残らないのである。厄介なことに一度この思い出に浸かった多くの者は、今度は別の車種で再度フェラーリローンを設定されて、また実態リース契約を締結してしまう。簡単いうと、生涯金利込みのリース料を支払い続けるだけで、一生フェラーリを自分で所有もできずに終わることになる。
これから本格的に資産を築き上げるものにとって、確かな純資産(資産から負債(借入金など)を引いたもの)を築き上げるまでは、これらの車には手を出さないことが無難である。
ではどういったレベルで購入に踏み切れるのか?その目安は、現金一括で購入しても資金繰り等に一切の支障をきたさない(旅行、外食等の嗜好品、ファッションなど)か否かである。
つまり現金一括で購入できないのなら、買わない(買えない)と判断すべきである。
これらの車は、ローンで購入するものでなく、現金一括で購入するべきものである。私の職業は、公認会計士・税理士なので、現金一括で購入すると税務署に目を付けられる可能性が高まるからローンの方がいいのでは、などと相談に来る方がおられるが、そもそも確定申告提出で税務当局は、会社の利益水準や個人の所得水準などすべて把握済みのため、ローンでカモフラージュなどというのは全く意味をなさない。
投資家又はこれらから投資を検討している方は、投資資金の確保及び真の純資産を築くためにも、数千万程度の資金を得たからといって、すぐにフェラーリだランボルギーニだなどといっていたら、真の純資産を築くことは生涯できないで終わってしまう。
個人投資家で1億から5億程度の成功者は多いが10億円以上の成功者が極めて少数なのは、結局のところこうした誘惑に負けてしまうことが要因である。